朝型か夜型かは、好みではなく、実際に眠っている時刻の真ん中で測ります。仕事のある日と自由な日の眠りをうかがうと、体内時計がいまどこにあるのかが時刻で出ます。オランダの1万6757人を6.6年追いかけた研究では、この時刻の区分によって認知症の起こりやすさに差がありました。
岡 博史 HIROSHI OKA
朝型か夜型かは、好みではなく、実際に眠っている時刻の真ん中で測ります。仕事のある日と自由な日の眠りをうかがうと、体内時計がいまどこにあるのかが時刻で出ます。オランダの1万6757人を6.6年追いかけた研究では、この時刻の区分によって認知症の起こりやすさに差がありました。
はじめにお読みください。
朝型か夜型かを「好み」で聞くのではなく、実際に眠っている時刻の真ん中で測るのがミュンヘン・クロノタイプ質問票(MCTQ)です。仕事のある日と自由な日の眠りをうかがって、体内時計の位置を時刻で表します。
下に出てくる認知症の数字は、オランダの1万6757人を平均6.6年追跡した研究で報告されたものです。あなたが認知症になる確率ではありませんし、診断でもありません。くわしくはページの下の「もとにした研究」をお読みください。
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4:57頃
やや夜型
| 睡眠時間(仕事のある日) | — |
|---|---|
| 睡眠時間(自由な日) | — |
| 1週間の平均睡眠時間 | — |
| 睡眠の中央時刻(仕事のある日) | — |
| 睡眠の中央時刻(自由な日) | — |
| 睡眠負債で補正した中央時刻 | — |
| 平日にたまる睡眠不足 | — |
眠りについた時刻を「布団に入る時刻+眠るまでの時間」、睡眠時間を「目が覚める時刻−眠りについた時刻」とし、その真ん中を睡眠の中央時刻とします。自由な日の中央時刻(MSF)が、体内時計の位置にあたります。
ただし平日に寝不足だと、休日に寝坊して取り返すぶん、中央時刻が後ろにずれます。そこで1週間の平均睡眠時間との差の半分だけ前に戻した値が MSFsc(睡眠負債を補正した中央時刻)です。クロノタイプはこの値で表します。
自由な日も目覚ましで起きている方は、この補正を行いません。どこまで眠るはずだったかが分からないためです。その場合は補正前の値をそのまま表示しています。
あわせて出している「平日と休日のずれ」はソーシャル・ジェットラグと呼ばれ、平日と休日の睡眠の中央時刻の差です。毎週それだけ時差のある地域を往復しているのに近い状態にあたります。
質問票と計算式/ミュンヘン大学の Roenneberg らが提唱したミュンヘン・クロノタイプ質問票(MCTQ)です。朝型・夜型を「どちらが好きか」ではなく実際の睡眠時刻で測るという考え方で、いまも時間生物学の標準的な道具として使われています(J Biol Rhythms 2003/Sleep Med Rev 2007)。
5つの区分と、認知症の起こりやすさ/オランダの Lifelines コホートの1万6757人を、MCTQ の回答後平均6.6年追跡し、1088人(7%)に認知症の発生が確認された研究です。MSFsc で5つに分け、真ん中(3:30〜4:30・全体の56%)を基準にすると、
調整したのは年齢・性別・回答から追跡終了までの期間で、感度分析では睡眠時間も調整しています(Epidemiol Psychiatr Sci 2026;35:e31)。
同じ研究グループが、同じコホートで「認知機能の低下」も調べています。40歳以上の2万3798人を平均10.8年追跡し、頭の切り替えを見るテスト(図形をいくつ作れるか)を最初と10年後の2回行ったところ、学歴が高い群では、クロノタイプが1時間遅いごとに10年で0.80点低下していました(95%信頼区間 −1.34〜−0.26)。学歴が中くらい・低い群でははっきりした差が出ていません。さらにこの関係のおよそ4分の1は、睡眠の質(13.5%)と喫煙(18.6%)で説明できました(J Prev Alzheimers Dis. 2025;12(6):100168)。夜型であること自体より、そこに伴いやすい睡眠の悪さや喫煙のほうが、説明できる部分を持っていたという読み方になります。
この0.80点は、大きな差ではありません。同じ研究で、点数は10年のあいだに平均21.4点下がっています(175点満点。ただし最初は紙と鉛筆、10年後はデジタルで測っているので、この下がり幅には測り方が変わったぶんも混ざり得ます)。0.80点はそのおよそ3%にあたる幅です。統計としてははっきりした差(p = 0.004)ですが、7811人という規模があるため小さな差でも判定に出ます。ひとりの方が体感できるような違いではありません。
この数字の読み方には、注意していただきたい点がいくつもあります。
クロノタイプそのものは体質であって、良し悪しではありません。夜型だから直さなければならない、という話でもありません。この研究からいえるのは「区分によって差が観察された」ということまでで、時刻を動かせば認知症が減る、と示したものではありません。眠りの悩みが続くときや、もの忘れが気になるときは、点数ではなく医療機関にご相談ください。